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不倫であっても愛することに変わりなく、愛することで満たされたい。 心が生きると書いて性となるなら、淫らさもまた愛の証だと思っています。
約束の記し…(たまには童話で愛を…)
小さな村に貧しい身なりの女が辿り着きました。

女の手には巾着袋一つ。

村の外れには、若い男が独りで住んでいました。

「俺の家は貧しいが雨風は凌げる。行く宛てがないのなら此処にいればいい」

どこの者とも聞かず、家に居ていいと言われた女は、大変喜び男の妻になりました。

女は朝から晩まで一人畑を耕しては、沢山の野菜を作りました。

女の作る野菜を食べると長生きすると評判になり、貧しかった男の家は村一番のお金持ちになりました。

けれど家の豊さとは引き換えに、農家暮らしが女を哀れな老婆に変えてしまいました。

それでも女は来る日も来る日も畑仕事に精を出し、男に限りなく尽くしました。

ある日、まっ白い綿帽子を被った若くて美しい娘が男の家に嫁いできました。

男は老婆となった女に言いました。

「お前には十分、恩を与えてやったつもりだ」

「本当ならお前を追い出してもいいのだが、それはあまりに忍びない」

「お前は今日から俺の母となり、若い妻と一緒にこの家を守って欲しい」と言いました。

女は男の言い付け通り、若い嫁と仲良くしようとしました。

けれど若い嫁は醜い老婆と暮らすのは嫌だと言うと、この家から老婆を追い出してくれと男に頼みました。

男は仕方なく、老いた妻に家を出て行くよう言いました。

「その代わりお前の欲しい物を持っていくがいい…」

「はい、それでは、あなた様と宝物を頂いていきます」

けれど女は何も持たず、男の元を去って行きました。

女が出て行ってしばらくすると、畑の作物はみるみるうちに枯れ始めました。

これでは野菜が売れません。

男の家が貧しくなると、若い嫁は出て行きました。

(また独りか…)

ポツリと男が呟きました。

縁側に寝転んで見る空に、懐かしい父の顔が浮かんできました。

そして庭奥に植えた桜の木が枯れかかっていることに気づきました。

父と二人で植えた思い出深い桜です。

桜に近づいてみると低い枝の先に貧しい女が持ってきた巾着袋を見つけました。

巾着には隣国の紋章が付いていて、布地はお姫様の着ている桜模様の着物と同じでした。

男は思い出しました。

まだ両親が生きていた頃、父の育てた野菜が隣国お姫様の死の病を治したことを…。

喜んだ王様は、農夫に褒美を取らせると言いました。

農夫は悩んだあげく、王様に一つお願いしました。

「もし?私の家族に不幸が訪れたら、その時はどうか助けてあげてください」

「それがお前への褒美となるのか?」

「はい…私は今、貧しくとも幸せです。ただ私には残された時間が少ないのです」

「私がいなくなった後に息子が幸せに暮らせるか?と思うと、それだけが心配でたまりません」

王様は子供を思う気持ちは、王様も農夫も同じことだと知りました。

そして王様は必ず約束は守ると言い、約束の記しに桜の苗木を持たせて帰したのでした。

男が巾着を広げると、沢山の野菜の種が零れ落ちました。

男は種を一つ一つ拾うと、追い出した妻を思って泣きました。

「俺はあいつの笑った顔を一度も見たことがない」と声をあげて泣きました。

そして人を思い愛する心の深さを知らずにいた自分の身勝手さに気づきました。

男の涙と一緒に零れた種は、みるみるうちに青々とした作物に育ちました。

それから男は畑仕事に精を出し、家は元の豊さを取り戻しました。

それでも何か足りません。

心にポッカリ穴が開いたままでした。

男は大切に育てた作物と、女の残していった巾着袋を持って隣国の城へと向かいました。

「忘れ物を届けに隣村から参りました」

「どうぞ門をお開けください」

男は門番に巾着袋を見せると、城の中庭に通されました。

庭には小さな畑があり、美しい姫と幼い男子が仲良く畑仕事をしていました。

「お戻りになられましたか…」

姫はそう言うと、男の子の背中をそっと押しました。

男の子は駆け足で男の元へと駆け寄ると、

「お父上、お帰りをお待ちしていました」

と満面の笑みを浮かべながら言いました。

「この子があなたから頂いた宝物です」

姫は男にそう言うと、にっこりと微笑みました。

男は姫の笑った顔を見て泣きました。

大空向かって泣きました。

美月
   
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